はじめに
この講話集を読まれる人々へ
わたくしたち、人間の苦は、すべて、煩悩より生ずるものです。されば、煩悩の世界から解脱して、悟りの世界に渡るにはどうすればよいか!、ということですが、このことについて、村木幸次郎先生は、先づ尊き教えを知ることだ。次にその教を信じて、ただ一筋に、日常の生活に実行することよりほかに道なきものぞと、申されております。
この講話集を手にすることのできたわたくしたちは、深き仏縁のあるところに感謝し、この世に極楽世界を建設したいものです。
開経偈に「無上甚深微妙の法は、百千万劫にも逢い難し、 我、今見聞受持することを得たり、願くば、如来真実の義を解し奉らん」とあります。
わたくしたちは、今、講話集を手にすることによって、百千万劫にも逢いがたい微妙の法に逢うことができたのです。ありがたき、かずかずのみ仏の教えをきくことができたのです。
しかし、苦の世界を解脱し、彼岸に到達することは大へんなことであります。それには一人一人が神仏の教えを実行し、この世に密厳浄土を建設しようとする修行の姿こそ、何よりも尊きものであります。わたくしたち、三宝会 (野の聖者泉庄太郎先生の生前の宗教的生活の教えを、村木幸次郎先生の指導のもとに、社会に極楽浄土を建設せんとの理想に燃えている者の宗教的修養会)では、日頃、村木幸次郎先生より、きかしていただきました尊きみ教えを多くの人々にわかちたいとの念願から、このたび、 神泉園講話集として発刊いたしました。
内容は、六百か条よりなり、各か条毎に、神仏の教えのことばと、それらの実際の事例をあげてあります。こどもから老人にいたるまで、よめ、かつ、理解のできるように、ごく平易に、通俗的な表現をしてあります。
ひごろ、おこりくるなやみの解決のしるべとして、すぐさま役立つものと信じます。どうぞ、人生の問題に直面したときには、この書を開いてみてください。きっと自分だけで気づかなかった救の道が発見されるはずです。 そういった意味で、この書を修養の師として座右におかれて、大いに役立てていただければ幸と存じます。
一九六八年十月
三 宝 会