講話音声再生(92~101)

第九二条 「神信心するものは、色染めをするようなもので、まず自分の色をぬいて後でないと思う色にならぬ。」

第九三条 「よい細工物をする時には、まず刃物をよく磨くように、人もまずよい人について身を磨かねば、よい仕事はできぬ。」

第九四条 「外見善を装うて、内に悪をたくわえるものは、人の眼をぬすむ盗人である。」

第九五条 「燈明が風にあおられたら、油がはやくつきるように、心あせれば体を損ねる。」

第九六条 「堅いものは毀れやすい、柔かいものは続く、柔かでも、にぶければ亡ぶ。柔でさどいものがよい。人の身体で一番堅い歯が一番早く毀れ、柔かでさどい舌が一生使えるのは ありがたいではないか。」

第九七条 「光明ある歴史は、艱難の後でなければ来ぬものである。」

第九八条 「親は、子に仕事のおちんをくれる。神も同様、人におちんをくれるが、おちんに迷うて仕事をしてはならぬ。」

第九九条 「常々に、困窮した時の考えで暮せ。」

第一〇〇条 「望なき所にはお陰は表われぬ。助かりて喜ぶのは望みがみたされたからである。」

第一〇一条 「霜の朝、菜の葉の上に井戸の水をかけたら、湯をかけたようにしおれる。これは水が沸いているのではない。菜と水との温度の違いが大きいからである。人もこれと同じように、常に心の置き所によって、少しのことでも大きく身にこたえるが、心の置きようで、いかなることも楽に行けるものである。」